薬剤部では医師や看護師など多職種の医療スタッフと連携し、患者さんに安心で安全な医療を提供できるように努めています。薬剤師としての専門性や視点を活かして、「医療の質と安全性の確保」と「医薬品の適正使用」を目指し、何より患者さんに信頼される薬剤師となるために、部員一同力を合わせて、より一層努力していきたいと考えています。
▶調剤業務(内服薬、外用薬)
医師の発行する処方箋(電子カルテ)に基づき、患者さんの病態に最も適した内服薬や外用薬などの調製を行っています。また、医師の発行した処方箋のチェック、服薬指導(患者さんへの情報提供と指導)なども行います。原則として院外処方箋を発行しているため、調剤業務は入院患者さん中心となっています。
▶調剤業務(注射薬)
患者さんに処方された注射薬を、患者さん毎に1日分ずつセットして病棟や外来へ払い出しています。患者さんの年齢、体重、体表面積、検査値など様々な状況を考慮し、処方された薬についての配合禁忌(混ぜてはいけない薬)、投与量、投与速度、投与期間などのチェックを行います。処方内容に疑問が生じた場合には、処方医に確認した後、調剤しています。
▶注射薬混合調製業務
食事が摂れない入院患者さんに対して栄養となる高カロリー輸液を、無菌製剤室のクリーンベンチ内で調製しています。この点滴は栄養分が多く、微生物汚染の可能性が高くなるため、無菌状況下で調製しています。また、外来・入院で抗がん剤の化学療法を行う患者さんに対して、薬剤師が投与量、投与間隔、検査値などの確認を行ったうえで、安全キャビネット内で調製を行っています。抗がん剤は休日の投与にも対応可能な体制をとっています。
▶薬品管理業務
用度施設課と協力しながら院内で採用されている全ての医薬品の購入から、在庫、院内各部署への供給を行っています。特に、品質面の管理(温度、湿度、遮光など)や使用期限のチェックには万全を期しています。
▶製剤業務
医師からの依頼により、現在市販されている医薬品では対応できない場合に、院内で審査した上で、薬剤部内で“院内製剤”を調製しています。院内製剤は、使用前に医師から患者さんへ十分な説明を行い、患者さんの同意を得てから使用されます。
▶医薬品情報業務
患者さんの薬物治療が安全に行われるように、医薬品に関する情報を収集、整理し速やかに関係部署に情報提供しています。常に最新の情報を入手するよう心がけています。また、院内での有害事象の収集にも積極的に取り組んでおり、PMDAや製薬会社への報告を行っています。
▶薬剤管理指導業務
医師の同意を得た入院患者さんに対し、持参薬の確認、副作用歴、アレルギー歴や入院中に処方された全ての薬の説明(効果、副作用、服用方法、飲み合わせなど)などを行っています。この際、薬を正しく服用されているか、副作用が出現していないかなどを確認しています。また内服薬や外用薬だけでなく注射薬についても投与量、投与方法や内服薬との相互作用などについて問題がないか確認をしています。また、検査値などのデータを共有し、処方の確認や副作用発現状況の確認に役立てています。薬に対する疑問や不安を解消し、安心して治療を受けることができるように努めています。
▶病棟薬剤業務
HCUと地域包括ケア病棟以外の病棟に薬剤師を配置し、入院患者さんに安全かつ最適な薬物治療が提供できるように薬学的視点から支援を行っています。医師に処方の提案や助言を行い、病棟カンファレンスや時には回診などにも参加して医師・看護師・その他のコメディカルとの情報交換を行い、適切な医薬品の使用や副作用管理などを行っています。
▶入退院支援センター業務
入院予定の患者さんに薬剤師が面談し、常用されている薬の内容などを確認し、医師や看護師に情報提供することで、より安全で適切な入院治療を受けられるように、チーム医療の一員として活動しています。また、手術が決まり入院予定となった一部の患者さんに対し、事前に休薬が必要な薬の確認を行い、入院までの薬の管理について適切に行えるよう説明しています。
新人職員には新任薬剤師業務確認表に基づいて、入職後半年で当直業務に入れるように、また病棟薬剤師に付いて各病棟をローテーションし、臨床で必要な知識や技術を修得する教育を行っています。
薬学教育が6年制になり、病院において11週間の実務実習を履修することが卒業要件となっているため、モデル・コアカリキュラムに沿った学習ができるように、カリキュラムを組み実習を行っています。実際の調剤や病棟業務を体験しながら、様々な領域の疾患について学び理解を深めることができます。毎年、東京薬科大学や横浜薬科大学などから受け入れを行っています。
認定学会 |
資格名 | 資格者数 |
日本病院薬剤師会 | 病院薬学認定薬剤師 | 1名 |
日本病院薬剤師会 | 認定実習指導薬剤師 | 2名 |
日本薬剤師研修センター | 認定薬剤師 | 2名 |
日本薬剤師研修センター | 認定実務実習指導薬剤師 | 2名 |
日本糖尿病療養指導士認定機構 | 日本糖尿病療養指導士 | 1名 |
日本アンチドーピング機構 | 公認スポーツファーマシスト | 1名 |
▶医療安全
当院並びに他院での事例を通して、医療安全に関する情報を十分共有しつつ、院内で発生したインシデントやアクシデントを分析し対策を講じています。また、院内の医療安全に関わるマニュアルの作成と周知、職員への安全教育なども実施し、医薬品の安全使用や安全文化の醸成に努めています。
▶院内感染対策チーム(ICT・AST)
ICT・ASTに各1名の薬剤師が所属(専任)し、医師・看護師・検査技師等との多職種によるミーティングや院内ラウンドを行いながら随時相談に応じ、感染対策活動の充実を目指しています。
▶緩和ケアチーム
当院の緩和ケアチームは週に1回のラウンドを行っています。医師・看護師・栄養士・薬剤師がチームとなり、主治医や病棟看護師と協力して痛みの緩和などの治療の提案をしています。薬剤師は主に薬の使用状況や副作用の有無を確認し、薬についてのアドバイスを行っています。
▶NST(栄養サポートチーム)
週1回、栄養面での介入が必要と思われる入院患者について、医師・看護師・栄養士とともに現状を評価し、問題点やその改善方法について検討した上で回診を行います。その際、現在の内服薬・点滴の中で栄養状態に影響しているものがないか等、薬学的側面から確認や提案をしています。
▶糖尿病チーム
月1回、糖尿病疾患で入院している患者のカンファレンスを行っています。現在のメンバーは医師、看護師、薬剤師、管理栄養士です。医師の治療方針をもとにチームで患者の現状を評価したうえで、退院後の血糖コントロール、薬剤管理、栄養管理等についてカンファレンスを行い各職種が患者に対して療養指導を行っています。
▶心不全チーム
週1回、医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・ソーシャルワーカーとともに現状を評価し、問題点やその改善方法について検討した上で各職種が患者に対して療養指導を行っています。薬学的な面から薬剤の副作用出現がなく適切な用法・用量で処方されているか確認し、カンファレンスで処方提案などを行いその結果をもとに患者に療養指導を行っています。
▶褥瘡対策チーム
週1回、医師・看護師・栄養士・理学療法士・検査技師とともに褥瘡回診及びカンファレンスを行い、褥瘡保有者の褥瘡処置・ケア方法・栄養評価・薬剤の検討・ポジショニングなど、他職種が連携し、より良いケアの提供とスタッフ支援を行っています。
2020年8月 掲載