検査部は部長(医師)と、技師22名(パート5名含)、三課(検体・病理・生理)で構成されており、それぞれの課に配置され検査に従事しています。
外来採血も検査業務として行っており、365日24時間体制で緊急検査にも対応しています。
最新の医療情報や動向にも気を配り、学会や研修会等へ積極的に参加し、認定技師取得など自己研鑽に努めています。
診断・治療に貢献できる検査結果の報告を行い、必要とされる検査部でありたいと考えています。
2022年8月 掲載
病理検査室では主に患者さんから採取された組織や細胞を顕微鏡で解析する形態学的な診断を行っています。その業務は大きく組織検査、細胞診検査、病理解剖に分けられます。
〇病理組織学的検査
患者さんから採取した少量の組織や手術で摘出した臓器から組織標本を作製して病理学的に診断を行う検査をさします。組織の採取から始まりホルマリンでの固定、切り出し、薄切、染色等の過程を経て標本が完成します。標本作製は臨床検査技師が、診断は病理医が行います。近年は分子生物学的な手法が進歩したため、免疫組織学検査や遺伝子変異解析も外部委託にて行っています。
・生検検体
胃や大腸、肝臓、乳腺、膀胱や心臓から採取した0.5mm~1cmほどの組織について悪性腫瘍の診断や炎症などの良性病変の診断を行います。
・手術摘出検体
生検検査にて悪性と診断され、手術によって臓器の病変部分を摘出した場合、その摘出された臓器を詳しく検査し、悪性腫瘍の種類、広がりやリンパ節転移などを診断します。また、虫垂炎や胆嚢炎などの炎症性病変によって摘出された臓器は炎症の度合いを観察します。
・術中迅速検査
手術中に切り取った部分やリンパ節への悪性細胞の存在の有無を確認する検査です。主に乳癌、胃癌や腎癌、尿路腫瘍摘出手術などで行います。検査室に提出されてから30分程度で手術室に結果を報告します。
〇細胞診検査
喀痰や尿、腹水といった生体より採取した検査材料から細胞診標本を作製して細胞学的に診断することをさします。一般的に組織検査に比べると生体に対しての侵襲が少ないので、組織検査に先立って行われたり、癌のスクリーニングに用いられたりします。診断は細胞検査士が行います。当院病理検査室の臨床検査技師は全員が細胞検査士の資格を有しています。悪性の疑いがある細胞が見られる場合は病理医が最終診断を行い細胞診報告書を作成します。
〇病理解剖
病理解剖は死因や病気の原因を調査し、臨床経過・病態と死後の臓器所見との関連付けを行います。また、病理解剖を行った症例についてはCPC(病理・臨床カンファレンス)を開催し、医学教育に重要な役割を担っています。
当院では組織検体を永久保管してきましたが、令和5年6月に保管期間が設定されました。現在では適切に一定期間保管した後に廃棄しております。
○日本臨床細胞学会認定細胞検査士
○国際細胞学会認定国際細胞検査士
○日本臨床検査医学会認定二級甲類臨床病理技術士
○日本臨床衛生検査技師会認定認定病理検査技師
○特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者
○有機溶剤作業主任者
○毒物劇物取扱責任者
私たち検体検査課は尿や血液、分泌物など患者さんから採取される検体を「一般検査」「生化学的検査」「免疫学的検査」「血液学的検査」「輸血検査」「微生物学的検査」部門で検査を行い、医師に迅速・正確な結果を報告できるように日々研鑽しています。
採血・採尿室
採血室では、同時に4人採血ができるように3ブース+1ベッドで運用しています。ブースごとにパーテーションを置きプライバシーの保護にも対応しています。また自動採血管準備装置を導入し採血までの時間短縮・間違い防止に勤めています
一般検査
主な検査である尿検査は被検者に苦痛を与えることがなく採取が容易であり、腎・泌尿器系に病変があるかどうか、病変に対する治療効果や薬剤の副作用の判定などに用いられます。
生化・免疫学的検査
生化学・免疫検査では血液、尿、穿刺液などから化学的に成分を測定しています。より多くのニーズに応えるべく、項目の見直しや、機種選定を適宜行っています。現在は45項目以上あり、生化学的検査では1時間に2400テストの処理能力にて迅速な検査結果報告に寄与しています。
血液学的検査
血液検査は、血液疾患の診断、治療効果判定・経過観察、予後推定などに欠かせません。血液疾患以外にもあらゆる疾患のスクリーニングに有用であり、日常の診療に欠かすことができない検査です。
輸血検査
輸血を行う患者さんの副作用を防ぐ目的で血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験を行なっています。また血液製剤は日本赤十字社血液センターから購入し、臨床検査技師が専用の冷凍・冷蔵庫にて24時間管理を行い、安全で適正な輸血検査に貢献しています。
微生物学的検査
基本であるグラム染色、培養、確認培地を用いた生化学的性状による同定などの用手法から、自動分析装置による同定・薬剤感受性検査、遺伝子検査を行い感染症に対する治療薬の選定、経過観察などに貢献しています。また結核菌PCR検査、COVID-19 PCR検査・抗原検査を導入し、日々めまぐるしく変わる感染症に対応しています。
日本臨床衛生検査技師会 | 認定一般検査技師 | : | 3名 | |
日本臨床衛生検査技師会 | 認定救急検査技師 | : | 1名 | |
日本臨床検査同学院 | 緊急臨床検査士 | : | 7名 | |
日本検査血液学会 | 認定血液検査技師 | : | 1名 | |
日本臨床検査同学院 | 二級臨床検査士(血液学) | : | 2名 | |
日本臨床検査同学院 | POCT測定認定士 | : | 1名 | |
日本糖尿病療養指導士認定機構 | 日本糖尿病療養指導士 | : | 1名 | |
日本臨床衛生検査技師会 | 精度管理責任者 | : | 2名 |
AST
ICT
生理検査課では、臨床検査技師11名で、生理検査室・耳鼻科・健診センターにて各種検査を担当しています。
院内の緊急検査を積極的に受け、疾患に応じた検査結果を迅速に提供できるよう努めています。また近隣開業医の先生からも多くの依頼をいただき検査を実施しています。
学会や研修会への積極的な参加や、各種認定資格取得など、それぞれが自己研鑽に励み、より質の高い検査結果を提供できるよう日々努力を重ねています。
・超音波検査士
消化器 6名
循環器 4名
体表臓器 5名
泌尿器 4名
健診 5名
・JHRS認定心電図専門士 1名
・緊急検査士 1名
・二級臨床病理技術士検査士(循環生理学) 2名
・細胞検査士 1名
(2024年7月)
【超音波検査】
〇どのような検査ですか?
装置から超音波を発信し、体内にあたってはね返ってきた反射波を受信することによって、体内の様子を画像に映し出す検査です。
放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して検査することができます。
〇注意すること
・腹部の場合、食事の影響を受けるため検査前は禁飲食となります。
・膀胱、前立腺、子宮・卵巣の場合、膀胱に尿をためた状態で検査します。
〇検査領域
・腹部(消化器、泌尿器、婦人科)
炎症性腸疾患等の消化管エコーも積極的に行っております。
・心臓(経胸壁、経食道、負荷)
・血管(頸動脈、下肢動静脈、腎動脈、バスキュラーアクセス 等)
・体表臓器(乳腺、甲状腺、軟部腫瘍 等)
※2020年4月から肝臓エラストグラフィー(ShearWaveElastography)を導入しました。
ShearWaveElastography(SWE)
SWEは超音波装置のPush Pulseにより発生させたせん断波の速度を計測し、硬さを数値で表示します。
びまん性肝疾患の診療において肝線維化の程度を評価することは臨床上有用で、治療方法の選択の重要な指標となります。また肝細胞癌の発生と肝線維化の進展は相関することが知られ、線維化の程度によって将来の発癌率が分かります。
肝生検は肝線維化診断のゴールドスタンダードですが、出血や疼痛を伴い侵襲的な検査です。SWEは非侵襲的に硬さを知ることができます。またSWEは、肝硬度測定専用装置Fibroscanの肝硬度測定値と非常に高い相関が得られることがわかっています。SWEでは画像を見ながら任意の部位での肝硬度測定が可能になり、Fibroscanでは計測できない腹水貯留例でも計測が可能です。
【心電図(標準12誘導)検査】
〇どのような検査ですか?
心臓から発生する微弱な電流の変化を波形として記録し、心臓の働きを調べます。安全で苦痛のない検査です。
〇検査でわかること
不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大などの心臓病の発見と診断
【負荷心電図検査】
〇どのような検査ですか?
運動で心臓に負荷をかけて心電図を記録し、心筋虚血の有無を判定する検査法です。
①マスター法
2段の階段を昇降し、負荷をかけます。
②トレッドミル法
ルームランナーの上を歩き、負荷をかけます。運動による心電図と血圧の変化を記録します。
〇注意すること
検査当日は歩きやすい服装でおこしください。
裸足で行いますので、運動靴は必要ありません。
〇検査でわかること
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心臓病。不整脈を伴う病気。
【ホルター心電図検査】
〇どのような検査ですか?
小型心電計を24時間携帯し心電図を記録します。
記録した心電図を解析し日常生活における心電図変化を調べます。
〇注意すること
・装着中、入浴やシャワーはできません。
・電気毛布や電気カーペットは検査に影響しますので、使用をお控えください。
・結果の解析に2週間程度かかります。
〇検査でわかること
不整脈、狭心症など。
【血圧脈波検査(ABI・CAVI検査)】
〇どのような検査ですか?
ABI(Ankle-Brachial Index)とは足首と上腕の血圧比のことです。同時に測定することで、動脈(足)の詰まりの有無がわかります。
〇検査でわかること
動脈硬化による血管の詰まり(ABI)と血管の硬さ(CAVI)を調べます。
〇注意すること
下記に該当する方は、正しい結果が出ない、または検査ができない場合があります。
・不整脈のある方
・ペースメーカーをご使用の方
・80歳以上の方
・深部静脈血栓症を指摘されたことがある方
・腕に透析シャントがある方
・大動脈瘤を指摘されたことがある方
・乳癌手術経験がある方
【皮膚灌流圧検査 SPP】
〇どのような検査ですか?
皮膚表面の小さな血管(毛細血管)の中の血流がどれくらいの圧で流れているかを調べる検査です。
〇検査でわかること
重症下肢虚血(CLI)の重症度評価、難治性潰瘍の治療予測、下肢カテーテル治療術後の経過観察など。
〇注意すること
30分程度かかりますので、トイレを済ませておいてください。
【肺機能検査】
〇どのような検査ですか?
鼻をクリップで閉じ、マウスピースをくわえた状態で口呼吸を行います。
肺の容量や、息を吐き出すときの勢いから気道の狭窄について調べます。
〇検査でわかること
肺気腫や気管支喘息、間質性肺炎などの肺の病気の診断、重症度などを調べるのに役立ち、治療効果の判定にも使われます。
また、手術時の麻酔法選択の時にも利用されます。
【終夜睡眠ポリグラフ検査 PSG】
〇どのような検査ですか?
脳波・眼球運動・筋電図・呼吸努力・いびき・動脈血酸素飽和度などを一晩にわたって測定します。睡眠の質の評価を含めた睡眠呼吸障害の診断に必要な検査が可能です。
〇検査でわかること
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断・重症度判定、治療法の決定。
〇注意すること
・検査当日は昼寝をしないでください。
・検査当日の夕方以降は、カフェインを含む飲料はお控えください。
【脳波検査】
〇どのような検査ですか?
脳から発生する微弱な電流を波形として記録する検査です。頭部に電極をつけて、覚醒時や睡眠時の脳波を記録します。
また検査中に目の開閉や深呼吸、光刺激を行い脳に刺激を与えた状態を記録する場合もあります。
〇検査でわかること
てんかん、脳腫瘍、脳梗塞、意識障害など
〇注意すること
・検査時間が約1時間かかります。睡眠脳波の場合はさらに時間がかかる場合があります。
・頭部に電極をつけますので、前日に洗髪をすませ、整髪料はひかえてお越しください。
《睡眠脳波の方》
・睡眠時間を控えめにしてお越しください。
・乳幼児の場合、来院途中で寝かせないようにしてお連れください。
・睡眠剤を服用していただくこともあります(小児)。
耳鼻科の検査
【標準純音聴力検査】
〇どのような検査ですか?
防音室でヘッドホンをつけ、いろいろな高さの音を用いて、聞こえる最小の音を調べます。
外耳〜中耳の障害の有無を調べる「気導の検査」、中耳〜内耳の障害の有無を調べる「骨導の検査」があります。
〇検査でわかること
難聴の有無と、障害部位の推定、突然聞こえが悪くなる突発難聴などがわかります。
また補聴器をつくるときにも有用です。
【ティンパノメトリー】
〇どのような検査ですか?
耳につけたプローブ(耳栓)から鼓膜に向かって圧力を加えると、それが鼓膜に当たって戻ってきます。その戻ってきた圧力を測定します。
〇検査でわかること
鼓膜や中耳の状態・耳管の機能などがわかります。
【標準語音聴力検査】
〇どのような検査ですか?
防音室でヘッドホンをつけ、一桁の数字の聞き取りや、一文字のひらがなの聞き分けの程度を測定します。
〇検査でわかること
音は聞こえるが、何を言っているのかわからないという人の社会生活における不自由度などを推定します。
また補聴器をつけると良く聞こえるか、左右どちらの耳につけたら良いかの指標にします。
【重心動揺検査】
〇どのような検査ですか?
検査台の上に開眼、閉眼で1分間ずつ立って、体のふらつきを測定します。
〇検査でわかること
めまいの推移、平衡障害の有無、程度を客観的に評価します。
【シェロング試験】
〇どのような検査ですか?
安静臥位(仰向け寝)、起立直後、立位の血圧、脈拍数の変動を時間を追って測定します。
〇検査でわかること
起立性調節障害や起立性低血圧などの自律神経機能の状態がわかります。
【聴性脳幹反応 ABR】
〇どのような検査ですか?
頭部に電極をつけヘッドホンから出る音を聞き、聴覚に関与する脳幹神経系の電気信号を測定します。
〇検査でわかること
乳幼児の聴力検査、難聴者の音の伝わりづらい所を見つけます。
【耳小骨筋反射】
〇どのような検査ですか?
耳の中にある「耳小骨」と呼ばれる音を内耳に伝える骨があります。その耳小骨に付着する筋肉が収縮するかを調べる検査です。
検査を行う方の耳にプローブ(耳栓)を入れ、反対耳にはヘッドホンをつけて検査をします。音を聞いていただき、耳小骨の収縮の様子を波形にします。
〇検査でわかること
顔面神経麻痺の部位診断に用います。
【ENoG エレクトロニューロノグラフィー】
〇どのような検査ですか?
表面電極を用いて顔面神経の枝に刺激を送り、誘発筋電図を記録します。
〇検査でわかること
顔面神経麻痺の予後診断に用います。
2024年10月 更新